2011-07-08

生存権分科会からのご報告!

先日,生存権(老齢加算廃止問題)分科会の企画で,朝日訴訟主任弁護人であった
新井章先生から貴重なお話をうかがってきました。
お話のエッセンスを報告いたします。

●朝日訴訟を闘った際の印象的なエピソード
朝日さんが暮らしている岡山の療養所まで裁判官を現場検証に連れ出しました。
これにより,裁判官は朝日さんの苦しく非人間的ともいえるような生活実態を
直接認識できることができたのです。
このことが,朝日訴訟第1審判決で勝訴を得た最大のファクターです。

●憲法25条の意義について
戦前憲法と戦後憲法の決定的違いを具現化した規定であり,
「一人一人を人間として大事にする」ということを宣言したものだと思います。
このような25条の歴史的意義をしっかり受けとめる必要があります。

●「健康で文化的な最低限度の生活」について
「最低限度」という言葉には,客観的な基準が想定されているはず。
国の財政状況や,物価指数,国民の生活レベルといった諸要素を総合考慮した上で,
国の裁量に委ねられるという発想は誤り。
生活保護を受けずに歯を食いしばって苦しい生活を耐え抜いている人がいるんだから,
その人たちの収入より生活保護基準が上なのはおかしいという議論は誤導。
そのような発想を続けると,生活保護基準は常に底の底になってしまうが,
それは「健康で文化的な最低限度の生活」を保証する憲法25条に反することになるのです。

●弁護士にとって重要なこと
常に,本気・誠実に一生懸命に取り組むこと。例えば,分からない問題に突き当たったら,
徹底的に調べ尽くすこと。

●謙虚さを忘れずに
自分を誰かと比べることは意味がないこと。天分の差があることは事実だが,
同じ人間なのだから,どこかで共通点もあり繋がっています。
与えられた天分をベースにしつつ,世の中の役に立つように能力を伸ばす努力をすることが大切です。

7月集会の生存権(老齢加算廃止問題)分科会は,朝日訴訟の歴史的意義を踏まえつつ,
憲法25条及び生存権裁判を掘り下げて考えます!!