分科会とは
社会に存在する法律問題は様々です。
分科会は、実行委員会内でいくつかのチームに分かれ、例年40~50人規模の会場に分散して、
個別の社会問題について深く掘り下げるために開催されます。
本年度は8つの分科会を開きます。テーマは
分科会カテゴリー1
・分科会 01 : 刑事 - えん罪と取調べの可視化
・分科会 02 : 子どもの人権 - 子どもシェルター
・分科会 03 : 労働 - 非正規雇用問題 訴訟、運動、組合の可能性
・分科会 04 : 国際人権 - ビルマ問題
分科会カテゴリー2
・分科会 05 : 平和 - 米軍犯罪と基地問題
・分科会 06 : 刑事 - 裁判員裁判と死刑
・分科会 07 : 生存権 - 老齢加算問題
・分科会 08 : 消費者 - 賃貸借契約の更新料
を予定しております。皆様ふるってご参加ください。
分科会 01 : 刑事 - えん罪と取調べの可視化
足利事件、厚労省の村木さんの事件…
連日、刑事冤罪事件についての報道がなされています。私たちは、「冤罪事件と取り調べの可視化」をテーマに、冤罪事件がいかにして生じたのか、どうすれば冤罪を失くせるのか、ということを、現在、再審決定がなされ、いよいよ3月16日に判決が出される「布川事件」を通して、学習しようと考えています。
布川事件は、茨城県利根町布川で起こった強盗殺人事件であり、桜井さん、杉山さんのお二人が、無実にもかかわらず、犯人とされ、29年間もの獄中生活を強いられたという事件です。お二人は獄中から無実を訴え、弁護団や支援者との地道な活動によって、水戸地裁で再審公判がなされ、来る3月16日に判決が出されます。
布川事件の再審請求人である桜井さん、杉山さんをお招きして、取り調べの実態についてなどの生の声を聞かせていただき、冤罪が生み出される構造を考えていきたいと思っています。
皆さん、ぜひ一緒に学びましょう!
→ 分科会 01 : 更新情報
分科会 02 : 子どもの人権 - 子どもシェルター
家庭での親子関係がこじれて、あるいは虐待されて、安全に暮らせない子どもがいます。
児童養護施設を出て自立したものの、困難に直面し帰る場所を失ってしまう子どもがいます。少年犯罪を起こして引き受ける大人がいないために、入らなくてもよいのに少年院に送られる子どもがいます。そんな子どもたちが一休みする場所、駆け込み寺となるのが子どもシェルターです。
シェルターってどんなところ?子どもたちはそこでどんな暮らしをしているの?児童相談所の一時保護所があるけど、それだけじゃダメなの?運営費用はどうやって賄っているの?子ども担当弁護士の役割って?etc・・・
私たちの分科会では、子どもシェルターに関するいろんなお話を、実際にあったエピソードを交えて、シェルターの運営に関わっていらっしゃる先生からお伺いします。また、京都では今、近畿地方初の子どもシェルターが設立準備中です。こちらのPRも兼ねて、開設に関わっている先生からも、お話もお伺いする予定です。
→更新情報 : 分科会 2
分科会 03 : 非正規問題への訴訟、運動、組合の可能性
―すき家未払い残業代事件を通じて―
牛丼チェーン店「すき家」で働く数人のアルバイトが,未払い残業代の支払いを求めて提訴しました。
徹底的に責任を否定し、嫌がらせをしてくる会社ゼンショーに対し労働者を支えたのは、非正規労働者を中心とする新しい組合「首都圏青年ユニオン」でした。非正規社員は全労働者の3分の1に達し,低賃金・不安定雇用は,ワーキングプア、貧困問題,自殺問題といった社会問題の元凶となっています。その背景には、アメリカの新自由主義に影響を受けた日本の構造改革という、政治体制による弊害があります。
「すべての働く人に,人間らしい暮らしを。」そんな当たり前の願いを実現するため、
歴史上多くの労働事件が、裁判で、運動で争われてきました。現在最も大きな問題となっているのは非正規問題です。
私たちが法律家になったとき目の前の労働者を助けるために何ができるか。
すき家事件を担当された青年ユニオンの顧問弁護士の先生のお話を伺い、
問題の背景を学び、訴訟活動、それを支える運動、組合の可能性を探ります。
→更新情報 : 分科会 3
分科会 04 : 国際人権 - ビルマ問題
ビルマ問題
国際人権問題…遠い、日本とは関係のない問題でしょうか?
私たちが観光で訪れるアジアの国々でも、企業が展開を狙うアフリカの国々でも、人権問題は多発しています。人も物も国境を超えて移動し、日本国内にも多くの外国人が住む現代、私たちはもっと海外にも目を向ける必要があるのではないでしょうか。
今回私たちは、軍事政権が権力を維持し続けるビルマを取り上げ、どのような人権問題が起こっているのか、紹介したいと思います。ビルマは最近、アウンサンスーチーさんが解放されたことで話題になりましたが、実質的な民主化が進んだわけではありません。
そのうえで、視野を広げ、日本の法律家が国際人権問題に取り組む意義は何なのか、そして日本の法律家に何ができるのか、講演を交えて考えていきたいと思います。
→更新情報 : 分科会 4
分科会 05 : 平和 - 米軍犯罪と基地問題
日本には、現在でも多数の米軍基地があり、沖縄をはじめ全国で米兵の起こした事件や事故が後を絶ちません。
しかし、米軍基地の周辺に住んでいない者にとって米兵犯罪の実態を詳しく知る機会はあまりありません。
そこでまず、事件の当事者から直接に聴くことにより、米兵犯罪の実態や事件の帰趨等を学びたいとおもいます。
また、そもそも米兵犯罪がなぜ起こるののでしょうか。
歴史的にも軍隊が一般市民を傷つけた例は少なくないこと、日本でも米兵犯罪が多発していることからすれば、軍隊という組織の特性が兵士の行動に影響しているのではないかと考えられます。そこで、米兵犯罪の実態を捉える観点から、軍隊そのものにも焦点をあてていきたいと思います。
このような問題意識から、2006年に横須賀で起きた米兵による強盗殺人事件を取り上げ、その損賠請求訴訟の原告や弁護団の方から同訴訟の経緯を伺い、さらに軍隊や基地の性格、憲法9条・平和的生存権との関係等について学びたいと思います。
→更新情報 : 分科会 5
分科会 06 : 刑事 - 裁判員裁判と死刑
死刑という刑罰は、国家制度が始まった古代から綿々と続いてきた刑罰です。
わが国では当然に受容されている刑罰ですが、世界に目を向ければ、すでに過半数の国々が死刑を廃止し、
「死刑」制度自体への疑義は死刑廃止条約(1989年)としても結実しています。
わが国では、昨年末から裁判員裁判において死刑判決が続きました。
しかし、「死刑」という刑罰自体への議論は社会において深まりませんでした。
死刑はどのように執行されているのか?
どのような問題があるのか?
日本において死刑をどのように廃止するのか?
本分科会においては、講師をお招きして、私達が「死刑」について考えるための契機にしたいと考えています。
→更新情報 : 分科会 6
分科会 07 : 生存権 - 老齢加算問題
生存権訴訟 - 生活保護の老齢加算廃止
老齢加算は、70歳以上の生活保護受給者に対して、高齢ゆえの特別の生活需要(消化吸収のよい食品や保健衛生費、冠婚葬祭費など)を満たすために、1960年から実施されました。ところが、2004年から2006年度にかけて段階的に廃止され、全国に約31万人(2005年)いた受給者にとって、約20%もの生活扶助費削減となりました。
この措置に対して、受給者が全国8地裁で憲法25条違反であるとして訴訟を提起。2010年5月には東京高裁で「廃止は合理的な理由によるもので、憲法違反とは言えない」とする原告敗訴の判決が言い渡される一方、6月には福岡高裁が国の基準改定について「激変緩和措置を十分考慮しておらず、正当な理由のない改定を禁じた生活保護法に違反している」として、国に従ってした市の処分を取り消す判決が出され、それぞれ上告されています。
加算廃止で高齢の被保護世帯の健康で文化的な最低限度の生活は守られるか――裁判の動向もにらみつつ、古くて新しい25条の精神を探ります。
→更新情報 : 分科会 7
分科会 08 : 消費者 - 賃貸借契約の更新料
身近な不動産トラブル・・・更新料をめぐる問題
アパート等を賃借した経験のある人なら、「更新料」という言葉を耳にしたことがあるでしょう。更新料とは、賃貸借契約の期間満了に伴い、契約を更新する場合に、賃借人から賃貸人に対し支払われる一定額の金額をいいます。
最近ではこの更新料をめぐる紛争が大きな社会問題となっています。つまり、更新料の支払いを求める家主側と、これを支払わないとする賃借人側との間の深刻なトラブルが顕在化しているのです。しかも、この問題の難しいところは、どちらの側にも一定の「分」があることです。裁判所の判断すら、更新料の支払い義務を肯定するものと否定するものに分かれている状況なのです。この問題は、近い将来皆さんが法曹となった暁には、法律相談などで必ず持ち込まれる案件であるといえるでしょう。・・・・「さて、みなさんなら、どう答えますか?」
本分科会では、この問題に造詣の深い講師の先生をお招きして、①更新料問題とはいかなるものかを概観し、②現時点の判例・学説の内容を鳥瞰することを通じて、③この問題についての一応の自己の見識をもち、④この分野に関する法律相談に応じられるようにすることを目的とします。
身近な、そして難解な法的トラブルについて、一緒に勉強しませんか?
→更新情報 : 分科会 8