2011-04-29

老齢加算分科会のコンセプト紹介をします!

老齢加算分科会と聞いて,ぴんと来る人は少ないかもしれません。

「老齢加算」は70歳以上の生活保護受給者に対して,高齢者ゆえの生活需要(消化吸収のよい食品購入費,冠婚葬祭費など)を満たすために支給されていたものです。ところが,2004年から老齢加算の縮小がはじまり,2006年に完全廃止となりました。
「加算」という言葉が紛らわしいのですが,実態は上乗せではなく,そもそも高齢者の生活保護費が低水準で維持されていたことに対する埋め合わせとして支給されていたのです。

老齢加算廃止によって,受給者は約20%もの生活扶助費削減を強いられることになりました。
これにより,受給者である高齢者はただでさえギリギリの生活をしていたところを,さらなる倹約・困窮生活を余儀なくされることになりました。趣味やちょっとした楽しみさえもできなくなったのです。

この措置に対して,全国の受給者は憲法25条違反と主張し,訴えを提起しています。
朝日訴訟から続く,生存権裁判。「健康で文化的な最低限度の生活」とはなにか?それに積極的な意味付けをするのは誰なのか?どのようにすればそれは可能なのか?国の財政という一事をもって消極的になっていいのか?

生存権は私たちの生きる権利です。
自由権と異なりぼんやり放置されているふしのある生存権を,この機会にじっくり考えてみませんか。いかなる人でも人間らしく生きる権利がある,という理念を絵に描いた餅のままにしておくのではなく,積極的に実践的に捉え直したい,そう考えます。

次回は,老齢加算分科会の講師紹介,生存権裁判講演会レポートをします!